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 乙巳元旦口占 加藤徹
騰蛇遊霧日輝虹
蚯蚓食泥田益豊
伏地飛天無貴賤
聊勤寒夜雁奴功

騰蛇 霧に遊べば 日 虹を輝かす
蚯蚓 泥を食めば 田 益ます豊かなり
地に伏す 天に飛ぶ 貴賤無し
聊か勤めん 寒夜 雁奴の功

トウダ キリにアソべば ヒ ニジをカガヤかす
キュウイン ドロをハめば デン マスますユタかなり
チにフす テンにトぶ キセン ナし
イササかツトめん カンヤ ガンドのコウ

 騰蛇(とうだ)が霧の中を飛び回ると、日の光が虹をキラキラと輝かせる。
 ミミズが泥を食べると、田畑はますます豊かになる。
 地を這うもの、天を飛ぶもの、それぞれ違うが貴賤の差はない。
 雁の群れが野宿する時、周辺で警戒役をつとめる小柄な雁を「雁奴(がんど)」と言うが、私は学者として、世人に警告を与える雁奴の役割を微力ながらつとめたい。

自注
騰蛇遊霧=『韓非子』難勢篇「慎子曰『飛龍乗雲、騰蛇遊霧、雲罷霧霽、而龍蛇与螾螘同矣、則失其所乗也。』」(龍は雲に乗り、騰蛇は霧に乗って天空を飛び回るが、雲や霧がはれてよりどころがなくなると、地面に落ちて、ミミズやアリと同然になってしまう)
寒夜雁奴功=『太平広記』禽鳥三「南人捕鴈」:鴈宿於江湖之岸、沙渚之中、動計千百、大者居其中、令鴈奴圍而警察。(中略) 出『玉堂閒話』。福沢諭吉「人の説を咎(とが)む可らざるの論」:「学者は国の奴雁なり。奴雁とは群雁野に在て餌を啄むとき、其内に必ず一羽は首を揚げて四方の様子を窺ひ、不意の難に番をする者あり、之を奴雁と云ふ。学者も亦斯の如し」

 新年好! 过去一年承蒙关照,衷心祈愿大家身体健康,幸福美满!
  《乙巳元旦口占》
腾蛇游雾日辉虹
蚯蚓食泥田益丰
伏地飞天无贵贱
聊勤寒夜雁奴功
·     加藤彻 顿首再拜

【白话译文】
  腾蛇在云雾中游动,日光映照出美丽的彩虹;
  蚯蚓虽默默吃泥,却让田地更加肥沃丰收。
  无论是匍匐于地,还是飞翔于天,都没有贵贱之分。
  雁群夜宿时,总有一只专司警戒的雁,被称为“雁奴”。 作为一名学者,我希望能够像雁奴一样,尽自己的一份力,警示世人,启迪大众。

★三野豊浩先生が次韻してくださいました。2025年1月12日追記

乙巳正月次加藤先生韻
遙看青天七色虹
家家歓喜有年豊
太平如画真難到
諸国争鳴欲建功

遙かに看る 青天 七色の虹
家家 歓喜し 年の豊り有り
太平 画くが如き 真に到り難し
諸国 争鳴し 功を建てんと欲す

ハルかにミる セイテン シチショクのニジ
イエイエ カンキし トシのミノりアり
タイヘイ エガくがゴトき マコトにイタりガタし
ショコク ソウメイし コウをタてんとホッす

★杉本紀幸先生が次韻してくださいました。
参考ツイート https://x.com/katotoru1963/status/1874620335657734190

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次韻和加藤徹先生乙巳元旦口占
天上青虯挂彩虹
樹根群蟻望年豊
亢龍謙抑平生気
深謝真師木鐸功

天上の青虯 彩虹を挂け
樹根の群蟻 年豊を望む
亢龍 謙抑にして 平生の気
深謝す 真師 木鐸の功

テンジョウのセイキュウ サイコウをカけ
ジュコンのグンギ ネンポウをノゾむ
コウリュウ ケンヨクにして ヘイセイのキ
シンシャす シンシ ボクタクのコウ