山口組三代目組長・田岡一雄(1913-1981)が、自宅で娘とテレビを見ていたときのこと。海外の戦争場面の報道を見た彼は、娘にむかってこう言ったという。
一番怖いのは、国と国の"出入り"だ
 けだし名言であるる
 ヤクザにも「仁義」はある。「暴力団」だからこそ、無駄な流血は避けようとする分別がある。そんな分別も見識もなければ、ただの「愚連隊」である。

 前に、拙著『貝と羊の中国人』http://www.geocities.jp/cato1963/book.html#kaitohituzi のなかで、東アジアの「冊封体制」の本質は「ヤクザ社会」だった、と書いた。しかし今にして思えば、それは古き良き時代だったのかもしれない。

 昨今の東アジア情勢は、まともなヤクザ社会(?)のレベルですら、なくなっている。愚連隊的な「ならず者国家」(英語ではrogue state)を、核大国である「ヤクザ国家」諸国(yakuza states)が押さえつけようとする。まきこまれたカタギの国々は、大迷惑である。

 ならず者国家やヤクザ国家に、いきなり「カタギ国家」になれ、というのは無理だろう。ならばせめて、田岡組長の言葉を噛みしめてほしい。もう一度書く。

「一番怖いのは、国と国の"出入り"だ」
Itiban kowai no wa, kuni to kuni no "deiri" da !