気がついたら、このブログへの書き込みは一ヶ月以上たってしまった。
 時のたつのは速い。

 先日、ようやく新著『怪力乱神』の最終校正が終わった。
http://www.geocities.jp/cato1963/book.html#kairiki
 八月十日発売の予定だが、見本は、今週末にできあがる予定。
 表紙の装丁は南伸坊さん。前著『漢文力』に引き続き、今回もすばらしい表紙をデザインしてくださった。
 それにしても、日本語は難しい。
 怪力乱神を、どう読むか。
 私も、担当編集者のU氏も、「かいりきらんしん」と読んできた。
 しかし最近の国語辞典では「かいりょくらんしん」という読みしか載せていないものも多い。
 筆者が使っているパソコンのワープロソフトでも、「かいりょくらんしん」と入力しないと「怪力乱神」に変換されない。
 編集子と相談の末、結局、拙著の読みは「かいりきらんしん」と決めた。
 とはいえ、私自身は「かいりょくらんしん」という読みも否定しない。
 ただ、図書の検索の便を考えて、拙著の書名は「かいりきらんしん」に決めた。
 三年前、『漢文力』という本を書いた。
 今度の本は、いわば「裏・漢文力」みたいな、ドロドロとした本になってしまった・・・(^^;;
 
 今朝、小田実氏が亡くなった。
 私は小田氏の熱心な読者ではなかったと思うが、それでも、高校のころに何冊か読みふけった。今日では毀誉褒貶が分かれるかもしれないが、それだけ大きな影響力をもつ人物であった。
 私は一度だけ、小田実氏の話を直接、聞いたことがある。
 今から二年前、広島大学で小田氏が講演したときのことである。

http://www.hiroshima-u.ac.jp/top/schedule_info/index.html?id=624

講演者:小田 実 氏(作家・平和運動家・元ニューヨーク州立大学客員教授)
講演題目:崇高、あるいは非戦の思想
日  時:2005年6月3日(金曜)16:30~18:00
会  場:広島大学総合科学部・L102教室(大講義室)
主  催:広島大学総合科学部 制作科学講座

 演壇に立つ小田氏は、首から先が下のほうに曲がり、姿勢がかなりつらそうに見えた。
 今にして思うと、そのころから、病魔は小田氏の体をむしばみはじめていたのかもしれない。
 講演後、二メートルくらい離れた距離から、なんとなく、じっと小田氏を見つめていたら、小田氏も私のほうを見て、一瞬、視線があった。
 それだけのことだが、まるで昨日のことのようでもある。
 感無量。
 つつしんでご冥福をお祈りいたします。