株安が止まらない。
世界同時株安である。

資産3分法、という投資の定石がある。
財産を、預金、株、 不動産の三つに分けて、リスクを分散する。
現在の定石ではそれぞれをさらに、日本円、ドル、ユーロの三つに分散する。
三かける三で、合計九つの枠ができる。

 日本円の預金、日本円の株、日本円の不動産。
  ドルの預金、ドルの株、ドルの不動産。
   ユーロの預金、ユーロの株、ユーロの不動産。

この九つに分けておけば絶対安心・・・って、そんなお金、もってないよ!

でもって、とうとう、世界同時株安。
不動産も預金も、世界的に、利益率が下がってる。
どれもダメ。
簡単に言うと、地球規模でバブルがはじける寸前、ということかもしれない。
つまり、世界は、十数年前の日本を追いかけている、ということ。
この意味で、日本は世界一の超先進国だ!

金融資産がダメになると、モノをもっている国や人が強くなる。
石油とかレアメタルなど、天然資源に恵まれた国は、株安でも強い。
じゃ日本はますますダメか──というと、これが案外、そうでもない。

日本は資源小国と言われる。
たしかに、石油などの地下資源には、あまり恵まれていない。
しかし視点を変えて、「地上資源」という視点から見ると、日本は世界屈指の資源大国であるらしい。

さる1月11日、独立行政法人物質・材料研究機構が発表した数字によると、──
都市鉱山、すなわちこれまで日本国内に蓄積されリサイクルの対象となる金属の量は、世界有数の資源国に匹敵する規模になっている。
日本に地上資源として存在する金の量は、なんと世界の現有埋蔵量の約16%。
 銀は22%
  インジウム61%
   錫11%
    タンタル10%
      ・・・・・・
世界埋蔵量の一割を超える金属が、地上資源として存在すると試算されている。
詳しくは、物質・材料研究機構の「わが国の都市鉱山は世界有数の資源国に匹敵」
http://www.nims.go.jp/jpn/news/press/press215.html
に書いてある。
たしかに、全国のケータイに使われているレアメタルの量の総計だけでも、相当なものであろう。

原油高や株安や円高も、視点を変えると、実は悪いことばかりではない。
いまはまだ中途半端だが、株価が世界的に現在の半分になり、原油価格が現在の二倍になり、円高が進んで1ユーロ=80円くらいになれば、世界地図はガラリと変わる。
日本が、世界一の超大国になるかもしれない。

原油がどんどん高騰すれば、いずれ、メタンハイドレートの価格に近づく。
メタンハイドレートは、日本が世界一の保有量をもつ天然資源である。
現在の技術でも採掘可能だが、石油よりも割高なので、使われていないだけだ。
もし原油価格がもっと高騰して、世界中でメタンハイドレートを燃料として使うようになれば、日本人は全員、遊んで暮らせるようになる。
 年金問題なんて一挙に解決。
  700兆円の債務は、一晩で帳消し。
   日本国民の1500兆円の個人資産は、遊んでいるだけで、8000兆円にふくらむ。

株安も、いまくらいでは中途半端だが、もしもっと進めば、悪いことばかりではない。
今までさんざん外国人に買いたたかれた日本株を、日本人が取り戻す「神風」である。
外国の企業の子会社にされてしまった日本企業が、独立を取り戻すチャンスである。
株価が安ければ、株の流動性が高まり、企業同士の連合や再編も簡単になる。
株が暴落したら、実は、いろいろなことができるようになるのだ。
先日、大田弘子経済財政担当相が、
「残念ながら、もはや日本は、経済は一流、と呼ばれるような状況ではなくなった」
と言ったが、これは実は日本政府の謀略で、日本株を外人にどんどん売らせて、日本人が株や会社を買い戻ししやすくするための援護射撃であった──というのは、深読みのしすぎか。

ヨットは順風で前に進むが、逆風でも前に進める。
どうやって進むか?
それは、ヨットの本で見てください。
ともかく、技と知恵と気力があれば、逆風の中でヨットを前に進めることは、可能なのだ。
逆風でも順風でも、ヨットは前に進む。
ただし無風では、進めない。
日本国も同じ。
世界中が経済の逆風でふるえている今こそ、実は、大きなチャンスなのかもしれない。

もっとも日本の政財界のリーダーで、それだけの舵取りができる人間が果たして何人いるか、というと、ちょっと心もとない。

でもまあ、いま程度の株安では、逆風と言っても、そよ風ていどである。
まだ神風というほどではない。
もし円高がずっと進み、1ドル70円くらいになったら、わが日本国民が、営営としてたくわえてきた「個人の貯金1500兆円」を一斉に使って、世界に打って出る。
株や不動産を買う、などというケチな方法ではない。
もっとすごい使い方をする。
世界史の流れを換えてしまうような、ものすごい使いかた。
その使いかたとは──

そんな妄想にふけりながら、ポケットの中を手でまさぐると、百円玉が二つ入っていた。
あとでコンビニでプリンを買って食べよう。

妄想の旅は続く。