漫画週刊誌「モーニング」で、諸星大二郎氏の漫画「西遊妖猿伝」の連載が始まった。

この漫画の最初の連載は、1983年、私が大学一年生のときに始まった。
その後、断続的に連載や中断があった。
今回は、1997年から11年ぶりの連載再開となる。

漫画の内容も壮大だが、連載の歳月もすごい。

「西遊妖猿伝」は、史実の玄奘三蔵の事跡と、古典小説『西遊記』をミックスした、独自のフィクションになっている。

偶然だが、もうすぐ、講談社文庫から陳舜臣著『新西遊記』が刊行される。
こちらは、1973年の陳舜臣先生の紀行エッセイだが、史実の玄奘三蔵の事跡と、古典小説『西遊記』の世界のうえに、陳舜臣先生ご自身による中国旅行をからめた、たいへんユニークな作品になっている。
この本の「旧版解説」は尾崎秀樹氏が書いたが、「新版解説」は私が書かせていただく予定である。

ふと気づいたのだが、「西遊妖猿伝」のテイストは、どことなく、陳舜臣著『新西遊記』と似ているところがある。
あらすじなどは全く似ていないのだが、そこはかとないユーモア、たしかに知識に裏打ちされた重厚な世界観、史実とフィクションの皮膜を自在に行き来する闊達さ、などのテイストが、ちょっと似ているような気がする。

もしかすると諸星大二郎氏も、最初の連載開始前に、陳舜臣著『新西遊記』を読んだのかもしれない。