昨日も書いたが、中島恵『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』中公新書ラクレ
は、中国人の本音がわかる、とても面白い本だ。
 本書p.119-p.120 に引用されている、貧乏のどん底からわずか5年でビジネスで成功を収めた20歳の中国人男性の言葉(彼の氏名や経歴は本書を参照のこと)

(引用開始)
「その頃、よく布団にくるまって泣きながら一人でこっそり見ていたのは
『Angel Beats!』というアニメでした。
布団がゴソゴソするなと思ったら、
なんとネズミが這い回っているんですよ。
そんなに汚い環境でも、好きなアニメを見ている時間だけはとても幸せで、
ほんの一瞬ですが、辛いことを忘れられました。
日本のアニメは温い日本人の人間性が凝縮されていると思いました。
いつか、好きなアニメを山ほど買って、コスプレもたくさんして、
日本旅行に行きたいと思って、
それで今日まで歯を食いしばってがんばってきたんです」
(中略)
「中国人は誰でも明日のことはわからないんです。
今はとても豊かになって、多少のお金を持てるようになったとはいっても、
みんな心の中では明日のこてをとても心配し、
殺伐としているんです。
中国のような国では、どこにどんな落とし穴があって、
これから先も順調に生きていけるかどうかわからない。
誰に足を引っ張られるかも、裏切られるかもわかりません。
口に出さなくても、みな、そんな不安をいつも抱えています」
「でも、日本人は違う。(中略)
お金以外に価値を置いて精神的に豊かな暮らしをしている人も多い。
そういう姿は本当にうらやましいんです。
少なくとも、僕の目にはそう映ります」

(引用終わり。改行は筆者=加藤徹)

 昨日の繰り返しになるが・・・・・中国と日本の現状を正しく理解したいのなら、書店にあふれているくだらない「日本自画自賛本」や「中国崩壊論本」を百冊読むより、本書を読むほうがはるかに良いと思う。