ヒトの指って、楽器を弾くのにむいてない気がする。

ドレミファソラシド、は8つだが、指は5本しかない。
しかも、5本の指は、筋力も長さもバラバラで不ぞろいだ。
最悪なのは親指だ。筋力は最強だが、1本だけ離れていて、しかもあさっての方向を向いている。
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まあ、考えてみれば、あたりまえだ。
生物の進化の歴史のなかで、ヒトが直立歩行を始めてから数百万年。
ヒトの祖先が原始的な楽器を使うようになってから、数万年。
ピアノなどの鍵盤楽器で、親指も積極的に使う「五指法」が普及してから、2百年。
ヒトの指は、数百万年のあいだ、99パーセントの歳月を、ずっと楽器と無縁のまま進化してきたのだ。
ヒトの指は、木の枝をつかんだり、バナナの皮をむいたり、かゆい背中をかくために進化してきた。
だから、楽器に不むきな不器用な指をもつヒトも、子孫を残すことができたし、今もできる。
世の中に、私のような下手の横好きのアマチュア奏者が多いのは、しかたないのだ。

ヒトの指は、本質的に楽器に向いてない。
だからこそヒトは、いろいろな楽器を発明してきた。
鍵盤楽器を見ると、ヒトの「業(ごう)」がわかる。
手風琴だけを見ても、ピアノ式鍵盤、ボタン鍵盤、さまざまなタイプがある。
5本の指をすべて使って弾く手風琴、親指をのぞく4本指で弾く手風琴、親指と小指をのぞく3本指で弾く手風琴・・・・・・設計思想はまちまちで、それぞれのタイプは一長一短である。

谷口楽器さんのHPより↓
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手風琴ひとつとっても、
ピアノ・アコーディオン、クロマチック・ボタン・アコーディオン、ダイアトニック・ボタン・アコーディオン、バンドネオン、コンサーティーナ・・・・・・
と、いろいろある。
それぞれ、指づかいも、鍵盤の配列法も、バラバラだ。
みんな違って、みんないい。

なぜこんなに多くの楽器があるのか。
ヒトの指が、本当は、楽器にむいていないからだ。
だから、模索と試行錯誤が永遠に続いているのだ。

ヒトの指が不完全である以上、絶対的に正しい運指法も、究極の楽器も、理論上存在しない。
造物主がそう設計したからだ。

そう考えると、楽器がなかなか上達しなくても、気分が楽になる(^^;;