自作の漢詩 七言絶句 二首 未定稿
戊戌春 加藤徹

イメージ 2

其一
雨去春光新緑肥 風来杯影万紅飛 名桜満目如沽酒 太白鬱金楊貴妃
雨去春光新綠肥 風來杯影萬紅飛 名櫻滿目如沽酒 太白鬱金楊貴妃
雨去春光新绿肥 风来杯影万红飞 名樱满目如沽酒 太白郁金杨贵妃

雨去りて 春光 新緑肥ゆ
風来りて 杯影 万紅飛ぶ
名桜 満目 酒を沽るが如し
太白 鬱金 楊貴妃

アメ サりて シュンコウ シンリョク コゆ
カゼ キタりて ハイエイ バンコウ トぶ
メイオウ マンモク サケをウるがゴトし
タイハク ウコン ヨウキヒ

【大意】 雨雲が去り、春の日差しに木々の緑がつやつやと輝く。
 花見酒を飲もうとすると、風が吹いて来て、杯に注がれた酒に吹き渡る桜吹雪の姿が映る。
 見渡す限りの、さまざまな種類のサクラの花。まるで豪華な酒の棚のようだ。
 太白、鬱金、楊貴妃。みな桜の種名であると同時に、酒のブランドの名でもある。
  (下の写真参照)

イメージ 1


其二
烈日秋霜枝幹堅 五風十雨簇花燃 楽桜応是知桜楽 青赤白玄皆好天
烈日秋霜枝幹堅 五風十雨簇花燃 樂櫻慶是知櫻樂 靑赤白玄皆好天
烈日秋霜枝干坚 五风十雨簇花燃 乐樱应是知樱乐 青赤白玄皆好天

烈日秋霜 枝幹 堅し
五風十雨 簇花 燃ゆ
桜を楽しむは応に是れ 桜の楽しみを知るなるべし
青赤白玄 皆 好天なりと

レツジツ シュウソウ シカン カタし
ゴフウ ジュウウ ソウカ モゆ
サクラをタノしむは マサにコれ サクラのタノしみをシるなるべし
セイセキ ハクゲン ミナ コウテンなりと

【大意】 真夏のギラギラする日差し、秋から冬の凍(い)てつく霜が、サクラの枝や幹をたくましく鍛えた。
 五日ごとの風、十日ごとの雨が、燃えるような花を満開に咲かせた。
 春の晴れの日だけで、サクラが育つものか。サクラを楽しむということは、サクラの気持ちになってサクラの楽しみを知ることであろう。
 青春・赤夏・白秋・玄冬、一年のどんな日も、サクラにとっては良い天気なのだ。