2018年秋学期 早稲田大学エクステンションセンター 中野校 講座
ジャンル 世界を知る
中野校
日本と中国の伝統演劇東洋人の人間観と芸術の根源
加藤 徹(明治大学教授)
火曜日 |
13:00~14:30 |
全4回 ・10月09日 ~ 10月30日 (日程詳細) 10/09, 10/16, 10/23, 10/30 |
目標
・卑近な日常の事例から出発して真理を発見する「下学上達」の学問の面白さを満喫する。
・自分は伝統とは無縁だと思っている現代人の思考や行動も、実は伝統に縛られていることに気づく。
・外国と比較することで、日本人と日本文化の本当の姿を認識する。
・自分は伝統とは無縁だと思っている現代人の思考や行動も、実は伝統に縛られていることに気づく。
・外国と比較することで、日本人と日本文化の本当の姿を認識する。
講義概要
「演劇は、ちょっとね」と身を引いてしまう人がいます。しかし実は、演劇ほど身近でわかりやすい芸術はない、と言ってもよいのです。東洋の伝統演劇は、中国の京劇も、日本の能楽や歌舞伎も、一見するととっつきにくい感じがします。しかし、東洋的な人間観と芸術のコンセプトさえ理解すれば、京劇も能楽も面白いドラマとしてすんなり楽しめます。この講義では、予備知識ゼロのかたもわかるよう、映像資料を使いながら東洋のドラマの面白さを解説します。
各回の講義予定
10/09 死と再生の儀礼と演劇芸術:古代人の死生観や世界観と、古代ギリシャ、中国の昔の舞台、日本の能舞台の宇宙観
演劇の起源は、古代の招魂儀礼にあります。演劇芸術のコンセプトの根底にある、古代人の死生観や世界観について、映像資料を使いながらわかりやすく説明します。古代ギリシャの劇場が円形だった理由は、ギリシャ人は地球が丸いことを知っていたからです。舞台設計は宇宙観の縮図です。では、日本の能舞台の形や、中国の昔の舞台の形の根底にある宇宙観とは?
10/16 今でも伝統演劇にしかできないこと:東洋の伝統演劇である京劇や能楽、歌舞伎にみる東洋人の「人間」表現
テレビや映画、ネット動画が発達した現代でも、舞台演劇は滅びずに残っています。なぜでしょう? 舞台演劇、特に東洋の伝統演劇である京劇や能楽、歌舞伎には、今もテレビや映画では絶対に不可能な「人間」表現があるからです。それは何か? 現代の映画やアニメと比較しつつ、東洋の伝統演劇のコンセプトを、わかりやすく説明します。そのコンセプトは演劇だけではなく、私たち東洋人が19世紀まで共有していた社会的な常識でもありました。
10/23 東洋演劇のドラマの実例(1):千年にわたって語り継がれてきた異類婚姻譚「白蛇伝」にみる、越えがたい男女の溝
東洋の伝統演劇の特徴は、世代累積型集団創作です。千年にわたって語り継がれてきた異類婚姻譚「白蛇伝」を例に、男と女の越えがたい溝を、日本人や中国人は演劇としてどう描いてきたかを解説します。ちなみに「白蛇伝」は、中国の京劇の代表的な演目の一つであると同時に、昭和の日本の特撮映画やアニメ映画の記念碑的な作品でもあります。
10/30 東洋演劇のドラマの実例(2):東洋の伝統演劇のコンセプトや俳優術、作劇法が外国に与えた影響
東洋の伝統演劇は、コンセプトも俳優術も作劇法も、西洋演劇とは違うユニークさがありました。20世紀のドイツの劇作家ブレヒトは、日本の能楽の「谷行」や、中国の京劇俳優・梅蘭芳の舞台から多大の刺激を受けました。このような事例は枚挙にいとまがありません。東洋の伝統演劇が外国に与えた影響を、映像資料を使いつつ、わかりやすく解説します。
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